何らかのビジョンを持って生まれた会社が、いつの間にか単なる利益生成マシーンになってしまう事があります。
この記事では、そうしたことが起こる背景や、マシーン化した後に良く起こることについて書いています。
意志を失う会社
会社が単なる利益生成マシーンになるということは、会社としての意思を失っていくということです。
ここで言っている会社というのは、株式を上場している会社を指します。
会社がマシーン化してしまう原因には、次のような事が考えられます。
- 創業者や創業時のメンバーがいなくなる
- アクティビストの影響を受ける
- 売り上げの低下
創業者や創業時のメンバーがいなくなる
会社を創業している人達と言うのは、そもそもだいたい利益を上げるというよりも先に、「会社を創って何かしてやろう」と思っていることが多くあります。
従って、ある意味会社の利益が上がっていなくても、何かする原動力をもっているのです。
そうした人たちがいなくなると、途端に会社は”意志”を失います。
意志を失った会社は、本来の目的である「株主の利益を最大化する」ためだけのマーシンに変形します。
アクティビストの影響を受ける
ここで言うアクティビストとは、会社を単純に利益を生み出す資産としてみていて、やっている事業については何の興味も知識もない人たちです。
彼らは自分たちの利益を最大化することに最も注意を払っています。
彼らにとって、会社は単なる資産なので、そこで働く人達やその家族について、何の興味もなく、単なるコストとして見ていることが多いと思います。
もし、会社の利益率が悪ければ、単純にコスト(人)をカットしようとしてきます。
カットする人が、どのような貢献をしていたとしても、例えば直近の数字の状態などで機械的に判断していくので、その時点で意志を失っており、マシーンに変形しています。
売り上げの低下
売り上げが急激に低下すると、経営者はあせります。
あせってくると、何とか売り上げを確保するために、現場に無理難題を指示してきます。
そこに顧客の状況や感情、対応している現場の人間の置かれている状況などは、ある意味どうでもよく、とりあえず売り上げが欲しいというだけになります。
こうなると本来一番大切にしなければいけない顧客を一番無視するという皮肉な状態になり、意思のないマシーンに変形します。
マシーン化した後
会社がマシーン化すると、かなり悲しい感じになっていきます。
まず上場企業の場合、顧客や従業員よりも株主が最優先なので、株主以外のものに対して、割とご無体な事をやりだします。
顧客との関係性は、段々無視されるようになり、「買ってくれるのか、そうでないか」という関係になっていきます。
従業員は、単なるコストなので、利益を確保して帳尻を合わせるために削減されることがあります。
本来株主のために利益を生み出すのであれば、従業員に投資をしてたくさんアイディアをだしてもらったり、顧客との関係性を構築して気持ちよく購入してもらう必要があります。
しかし、会社がマシーン化すると、全く逆の動きとなり、これが会社をさらに失速させ、やがてなくなるか、どこかに売られることとなります。
マシーン化した時の対処
会社が完全にマシーン化した後に復活するためには、会社の意思を再び取り戻すしかありません。
業績不振だったアップルにジョブズさんが戻ってきたように、「この会社をこうしたい」という意志を持った経営層が戻らない限り、復活はできないでしょう。
それだけ「意志」というのは重要なのです。
意志がもどれば、割と早く復活する場合もあります。
もし、意思がない状態で何とかするのであれば、今業績の良い部分に集中投資するしかないように思っています。
資金がない状態だとできないですが、ある程度資金が残っているのであれば、一方でコスト削減をしていても、どこかで投資をする必要があります。
この投資の方向が間違っていた場合はダメですが、もしこれが成功すれば復活する可能性はあるでしょう。
単なるマシーンはつまらない
会社は組織ですが、その中にいるのは生身の人間ですし、商品を購入してくれている顧客も人間です。
マシーン化すると、それらは利益とコストという単なる数字になってしまいます。
数字であれば別に増えるか減るかだけなので、その中がどうなっているかなどどうでもよくなります。
こうなると、人間同士のやり取りが無視されてしまうので、何とも寂しい状態になるのは当たり前だと思っています。
人間なんですから、なるべくマシーンにはなりたくないですね。
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